Vol.4 1995
5月18日放映の「ニュース23」スポーツコーナーで元春の音楽を熱心に聞き入る野茂 選手の姿が紹介された。試合の直前にロッカールームで集中力を高める野茂選手。「 リラックス法は?」とのインタビュアーの質問に、佐野元春さんの曲を聴くことだ、 と答えた。ちなみに曲のなかでは「彼女の隣人」が一番のお気に入りだとのこと。こ の知らせを聞いた元春は顔を紅潮させ、「ほんとうに光栄です。」と大喜び。報道 でも伝えられているとおり、野茂英雄さんは、現在アメリカのドジャーズに在籍し、 過去日本で2人目の大リーガー選手として活躍中だ。元春と野茂選手の親交は古く、 近鉄バファローズ時代の試合を見学したり、野茂選手を始めとする近鉄バファローズ 選手陣が元春のコンサートに足を運んでくれていたりする等、親交を暖めてきた両者 。本場のベースボールの地で、そしてアメリカという文化の異なる場所で戦う野茂選 手に、元春も心からのエールを送っている。
元祖ジャパニーズR&Bグループと言われる「ザ・キングトーンズ」が、「バッド・ガ ール」(1st.アルバム「バック・トウ・ザ・ストリート」収録曲)をカバーした。こ の曲はアルバム「ソウル・メイツ」に収録されており、ソニーレコードより発売され ている。彼らのデビュー35周年記念を祝い、元春はパンフレットにこんなメッセージ を寄稿した。
「子供の頃、ラジオから聞いた'グッド・ナイト・ベイビー'。どこか歌謡曲とは違 った響きを感じていた。それが「Doo Wap」の形式だと知ったのはずっと後のことだ った。キングトーンズの新しいアルバムを聞いた。新しいソングライターたちの曲 を「Doo Wap」のスタイルで唄っていた。いいなあと思った。時は流れても、キン グトーンズの温かみのあるハーモニーは変わらない。またいつか、彼らの歌声がラ ジオから流れてくるのを楽しみにしたい。これからもずっと唄い続けてください。」
キングトーンズは、1960年プラターズ・スタイルのコーラスグループを結成。米軍キ ャンプのライブステージでスタートをきった。後に米軍キャンプの年間最優秀賞であ るゴールデン・トゥリー賞に輝いた実力派だ。代表曲である「グッド・ナイト・ベイ ビー」は、1967年に100万枚の大ヒットを記録し様々なミュージシャンに影響を与え た。その後ニューヨークで開催された「N.Y.ロイヤル・ドゥーワップショウ」に日本 人グループとして初めて出演する等活躍。今年結成35年記念としてトリビュートアル バム「ソウルメイツ」をリリースした。
今年3月。元春は、ソングライターとしても高い評価を得ている山口洋率いるグルー プ、「ヒート・ウエイヴ」のプロデュースを手掛けた。元春の他アーティストのプロ デュースは、前回の伊藤銀次のプロジェクト以来、2年ぶりとなった。このプロジェ クトは、山口氏がアルバム「ザ・サークル」に収録されているナンバー、「君を連れ てゆく」を聴き、「日本のロック音楽が到達した最高レベルの作品」と感想を述べ、 大きな感銘を受けたことが発端になっている。プロデュースの依頼を受けた元春はさ っそく山口氏と面会。彼らのニュー・アルバム用に2曲を手掛けることになった。内1 曲は、シングルとして、5月21日にエピック・ソニー・レコードより発売。タイトル は「オリオンへの道」。元春プロデュースらしい、ロマンティックなロック・ナンバ ーに仕上がり、評判も上々だ。レコーディングは95年3月。プロデューサー佐野元 春を筆頭に、参加メンバーは、元ハートランドの小野田清文(ベース)と西本明(ピ アノ)を始め、元レベッカの小田原 豊(ドラムス)、玉城宏志(ギター)、細海 魚(オルガン)。レコーディングは夜を徹して行なわれ、元春によるプロデュース曲 、2曲を仕上げた。シングル・リリースされた「オリオンへの道」は、包み込むよう なサウンドに美しいメロディーが印象的だ。レコーディングを振り返り、山口氏は、 「一つ一つの作業が本当に刺激的だった。」と語った。
今話題のコンピューター・ネットワーク、インターネット。新しい通信メディアとし て、さまざまな分野から注目されているネットワークだ。その、元春ホームページが 、彼の誕生日である3月13日に正式公開された。発表後には元春の所属する事務所に も問い合わせが殺到。日本経済新聞(4/29発行)やコンピュータ関連雑誌「マックライ フ」(5月18日号)には、このホームページに関する記事が掲載され、国内初のアーテ ィスト・ファン・ページとして注目を浴びた。公開から一か月で、既に5000人を超え る人達からのアクセスが記録され、国内だけでなく海外からの反響もあるという。 この、「Moto's WWW Site」の発足に向けて元春は次のコメントを寄せた。「未来へ の冒険心や好奇心、そして有意義なコミュニケーションに賭けてゆく健全なスピリッ トの現われであり、これからもトライ&エラーでやっていきたい。」(「マックライ フ・5月18日号 ファックス・インタビューより抜粋)
4月25日の夜8時から翌日9時までの25時間。DJ赤坂泰彦氏がTokyo-FMの開局25 周年を記念し、東京-ニューヨークを結ぶ25時間スペシャルを生放送した。元春も、 赤坂泰彦氏のDJ番組「ミリオン・ナイツ」には過去数回ゲスト出演したこともあり、 気ごころは知れた仲だ。このロング・ランDJの労をねぎらって、さっそく元春は激励 のメッセージを送った。番組内では「悲しきRadio(アルバム『The Golden Ring』よ り)のライブ・バ-ジョンがフルでエアプレイされ、赤坂氏も一緒に歌いながらジャ ミングした。
4月中旬頃から元春がレコーディング・スタジオに入り、新作に向けてのセッション が始まった、というビッグ・ニュースが事務所から飛び込んできた。この動きはファ ンクラブメンバーのみならず、関係者の間でも「佐野元春の次の動きは…?」と期待 度が高まっている中でのインフォメーションだ。このセッション中、元春のポケット の中には常に一本のカセットテープがあり、タイトルは「Moto New Works '95」と 書かれているという。つまりこれは新曲が詰まったデモ・テープ。「実はこういうカ セットテープが5〜6本あるんだ。」と元春。気になるのはバックを勤めるミュージシ ャンの顔ぶれだが、「最終的に形になるかどうか、やってみないとわからないし、情 報が一人歩きしてミュージシャンに迷惑も掛けられないから…」と元春のミュージシ ャンに対しての気配りから、残念ながら今現在は発表されていない。どういう形で 元春の新曲を聴くことが出来るのか、次のインフォメーションが楽しみ。“すべて をスタートラインに戻してギアを入れ直しているMOTO”元春への応援の手紙、待っ てます!