『BLOOD MOON』から見える風景
岸 智美

 「境界線」から始まるこのアルバムは、好奇心と冒険心がいくつになっても人を突き動かす原動力になる。それは佐野元春と同じ時代に過ごした仲間へのメッセージであると同時に若い世代に伝えたい事だと感じました。

 「本当の彼女」「私の太陽」の二曲は、ロックンロールはシンプルでありながら衝動性を止めることなく動き続けることに意味がある、と歌う佐野元春らしさが出た作品。

 また「空港待合室」に象徴されるように、自ら見た風景と自分の心を照らしあわせた詩的な風景が、等身大の佐野元春で個人的には好きです。

 これを聞いてどんな風景が見えるのか、リスナーの意見が楽しみです。