音 (振動)の海から生まれくるもの
Berry Jam

 私は、疲れると、甘いものと辛い物が食べたくなるのだが、『BLOOD MOOM』は、今の自分の身体の欲求に、とてもしっくりくる、生理的に満たされる、そういった曲が揃えられた、絶品メニューだと思う。

 食べ物の味は、季節や体調など、その時によって辛く感じたり、薄味で物足りなかったりするけれども、自分が、今、求めている味付けの音楽と出会えた時には、その曲は、忘れられない特別なものとなる。

 多面的に受け止められる詩を携え、すべての曲の中に言葉を包括させながら、連続し流れ続ける音 (振動)の海。境界線から東京スカイラインまで、『BLOOD MOOM』には、この、今、を生きる沢山の人々の中に内在する、欲求や要求を目覚めさせ、満たしてゆく仕掛けが在るのだと思う。

 この花火の中にどんな仕掛けがあるのか、技術的なことは何もわからない。ただ、日々、自分らしく生きるための糧として、必要な音がそこにあるということ。そして、ロックとはそういうものと思っている。