11 | 女性シンガーとのデュエット
1990-1992



 女性シンガーとのデュエット、と聞いて最初に思い出すのは1990年の「Home Planet ── 地球こそ私の家」。

「TBS系TV 宇宙プロジェクト トータルテーマソング」と銘打たれたこの曲のアーティスト名義は「渡辺美里/佐野元春」。佐野がザ・ハートランド以外に初めて共同名義で公式にリリースしたのがこのシングルだ。

  エピックの看板スターが共演したこのシングルはしかし、なぜかほとんどプロモーションされないままひっそりと発売され、今のところベストを含めどのアルバムにも収められていない。演奏はザ・ハートランド。レーベルはM'sFactoryではなくエピックのオリジナルだ。

 デュエットといえばこれに先立つ'87年にも、佐野は矢野顕子のアルバム『Granola』でその歌声を聴かせている。曲は「自転車でおいで」。糸井重里・作詞、矢野顕子・作曲のこの曲の2コーラス目で佐野はリード・ヴォーカルを担当し、矢野がサビのハーモニーをつけている。文句なしの名曲である。このアルバムには他に佐野の作詞による「Un Jour」も収められている(ヴォーカルは矢野のソロ)。また、矢野顕子は'92年発表の佐野のシングル「また明日...」にゲスト参加もしている他、「SOMEDAY」もカヴァーしている。

 ROMYこと石川ひろみも佐野と縁の深い女性アーティスト。'86年のシングル「Season In The Sun ── 夏草の誘い」と'89年の「水の中のグラジオラス」(シングル「シティチャイルド」カップリング)で、印象的なハーモニーを聞かせる。尚、デュエットではないが、ROMY名義のアルバム『KI・A・I』('85年)には佐野が補作詞(作詞は友部正人)と作曲を担当した「California」が収められている。また、佐野のプロデュースによるアルバム『mf VARIOUSARTISTS Vol.1』('89年)にはブルーベルズ名義で石川と匿名男性アーティストとのデュエットが3曲収録されている。

 最後に、正確にはデュエットではないが、佐野は山下久美子のアルバム『Baby Baby』に提供した「A SilverGirl(ずっと昔から)」でコーラスに参加している。'82年の作品だ。

(西上典之)



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