'君が気高い孤独なら ─ Sweet Soul Blue Beat'の世界観を自由に解釈して映像を創造し、賞を獲得したクリエイター達が、同名のタイトルを冠するツアーで元春と出会う。この素敵な「出会い」は、群馬、大阪、福岡、そして東京の各地で行われた。その中でも、最優秀賞を受賞したのっぽさんご夫妻と、ミュージッククリップで清々しい笑顔を披露してくれた姉妹のお二人の楽屋訪問は、楽しさいっぱいのものだった。

2月10日(日)、群馬 みかぼみらい館。開演の3時間半前となる午後3時、のっぽさんファミリーが会場に到着。スタッフに案内され、セットが組み上げられつつある暗いステージの横を抜けて楽屋へと向かう。ステージ上も楽屋裏も、普段は決して近寄ることのできない場だけに、この楽屋訪問がとても神聖な出来事のようにも思えてくる。のっぽさんファミリーはどうだろう? とお顔を見ると、ご夫妻のほうは嬉しさと緊張を交互に感じているようだ。小さな姉妹を見ると……なんとも堂々たるものである。

「出会いの場」となる楽屋の一室に通されると、元春が登場するまでしばし空白の時。あらかじめセットされていたPCには、のっぽさんファミリーが作り上げたミュージッククリップが映し出されている。

雑談をしながら数分の時間が過ぎたところで、元春が楽屋へ入ってくる。この瞬間の空気はどうとも伝えきれないくらい華やいだものだった。のっぽさんご夫妻は、先ほどの嬉しさと緊張がピークに達しているのだろう。姉妹のお二人は、普段からDVDで何度も見ている「佐野元春」が自分達の目の前にいるという不思議さに、姉妹の妹、ゆきのちゃんの目がキョトンとなっている。でも、きっと元春も少しだけ同じ気分を感じただろう。だって、PCの小さな画面の中で歌い、踊っていた女の子が二人、自分の目の前にいるのだから!

ファミリーと元春の対談は、時間にして20分くらいだっただろうか。姉妹によるエアギター&エアドラムのプレイはたったワンテイク、このミュージッククリップのために創作したダンスも数回で見事に踊りきったことなど映像制作のエピソードが話され、元春がピアノを弾くときにクセでよくやるというグリスダウンまでしっかり演技していたのに元春が感心したことなど、話は尽きることなく盛り上がった。お姉さんのゆずのさんからの「みんなの前で演奏するとき緊張しないんですか?」という質問に元春は、「緊張して歌えなくなると困るから、カボチャ畑で演奏しているんだって思うようにしているよ。皆を楽しませるために演奏しているから、僕が緊張しちゃうとみんなが楽しめないでしょ。だから緊張しないことにしているんだ」と優しく答えるなど、終始なごやかな場となった。

そして今回の受賞をうけてのっぽさんが作られたアウトテイク作品も、この楽屋で元春に披露。こちらは姉妹の歌声が添えられるなど、素敵なメイキング映像となっていた。

この夜のみかぼみらいでのライブは、この会場が運営されて以来はじめてのロックコンサートだということもあり、待ってましたとばかりのオーディエンスの盛り上がりが半端ではなかった。「子供達に希望を残すこと、それを音楽で続けていくよ」と元春がMCで言ったときに、のっぽさんの作品はもちろん、応募された作品のシーンがフラッシュバックのように駆けめぐっていった。何とも不思議だが、今回応募された作品は、いずれもそうした意志が感じられるものだったのではないだろうか。

最優秀賞を獲得したのっぽさんファミリー以外にも、各地で受賞者の方々との出会いがありました。
皆さんからのコメントが寄せられているので、ここでまとめてご紹介します。


受賞者の方のコメント

●佐野元春賞 morimoさん
●佐野元春賞 totti さん 
●佐野元春賞 ヒカルさん 
「初めての作品作り、元春に会える!受賞の喜びより大きな緊張、この人の音楽を聴き続けてきてよかったと思った元春とのひと時、決して裏切られることのない熱いライブ!すべてを鮮明に覚えていてまだ夢を見ているようです。」 今回、このような賞をいただきありがとうございます。
楽屋では、質問に気さくで丁寧にお答えいただきありがとうございました。ライブでは、ファンやスタッフに対する暖かい姿勢に感動し、大変勉強になりました。
「佐野元春賞ありがとうございます。ライブに招待していただき一番感じたことはファンの皆様との一体感でした。会場のみんながひとりづつ、何十年も自分の“佐野元春”を持っていて…そしてこんなに大勢の人が今を楽しんでいる…とても刺激になりました、ありがとうございます!」
●高橋栄樹賞 Kei さん 
●高橋嘉幸賞 perrier さん 
●今井健史賞 mcs さん
ツアーファイナル。ショー開始前の佐野元春は驚くほど晴れやかで、そして軽やかだった。
緊張の眼差しでたたずむ僕らを、涼しげな心地よい風で包んでくれた。
それはまるで、ホールの外の「桜の春」そのものだと僕は思った。
元春との握手。この時をどれだけ憧れた事か。僅かな時間でも元春を独占できた事、大変贅沢に感じます。子供も参加した撮影の為、うまくいかない事もあり何度も投げ出しそうに…
でもそこを妻がサポートしてくれました。妻にも感謝してます。
私自身は、PVの制作会社に所属し、映像制作を続けております。
このPVは、映像を作るということを知った、一つのきっかけになった作品です。今度はプロの世界でアーティスト佐野元春(呼び捨てですいません)のPVを世に出すことを一つの目標にしていきたいと思います。どこかで出会えることを夢見て。本当に貴重な経験をありがとうございました。
(残念ながらご本人は当日欠席)
  ※mcsさん、代理の方、ヒカルさんが映像制作のお仲間だったということで、一層和やかな雰囲気の楽屋訪問となりました。 (当日の代理の方からのコメント)
この作品はクラスの皆で作った作品です。楽屋へと案内していただき、さっそうと登場した佐野元春さん。ライブ前だというのにとても落ち着いた様子。私達一人一人に話しかけ、作品に ついて感想を述べてくれました。直接、佐野さんご本人から作品の感想を聞けた事は、映像の世界を志す私達にとっては貴重な体験でした。このような機会を与えてくださった事を心より感謝しております。