Napoleon Fish Tour


1989/11/22 神奈川県立県民ホール

LIVE#8

この日のライブのことを適切な文章と言葉で表すのは難しい。いくらどれだけの言葉を費やしてもうまく表現出来ないかもしれません。
あえて例えるならば、「この県民ホールがその場所であることを放棄させられる」ような
そして「ハートランドが今まで思っていたロックバンドであることを忘れさせられる」かのような、そんな数時間だけの特別な夜でした。
この日、席は確か前から5列目ぐらいで最も佐野さんとハートランドに接近した日でした。
(でも、はじっこの方だったのでTokyo Be Bopは前に出てきてくれるまでは音声のみサンディーマジオさんのステージ上のスライド効果もほとんど見えないに等しかった)
このツアーのライブ情報はテレビ深夜番組での特集や横浜スタジアムでのライブを通して全体の流れは知ってはいたつもりでしたが、それらが全く無意味なくらい何かが違っていたように記憶しています。
何曲目かで、佐野さんがバンドの方へ振り向き、「ジュジュ!」と指示を出し、おそらくスタート前に決めた曲順とは違っていたのかもしれません、古田さんの驚いて慌てた表情と仕草をとてもよく覚えています。この「ジュジュ」も今、定着したアコースティクなバージョンではなく、あえて分かりやすい喩えで言ってしまうとプリテンダーズの「Do’t Get Me Wrong」のような感じで佐野さんはギターを持たずタンバリンを片手にとてもタイトにそしてとてもゴキゲンなサウンドを聴かせてくれました。そして、この時代の空気を思いっきり吸い込みそれを吐き出しているかのような「ストレンジデイズ」、胸をえぐられるような「SHAME」、言葉を素っ裸にするかのように強力なリズムの中に1音1音、言葉を刻み込んで歌われた「Complication Shakedown ’89」、横たわる河を渡る意を決したかのような「Rock&Roll Night」、「陽気にいこうぜ」から途中、場末のキャバレーの雰囲気のサウンドを交え、佐野さんがやるから、かろうじて意味の成立する危険な賭とも言えるHip Hopな「自由、自由、自由、」、今思うとちょっとちゃちな元春メドレー。
この日のライブでは言葉や電気的に増幅された楽器、色とりどりの光がひとかたまりになり私の目の前を疾走するかのように通りすぎ、確かに佐野さんが世界のはじっこで小さな風を起こす蝶々の様に思いっきり羽をはばたかせているのを見ました。

この日、今までの中で最もステージに接近した位置で観られた為の興奮もあったとは思いますが私にとっては一生忘れられない”もの凄いライブ”でした。

                 (Mmmmm....抽象的すぎてよくわからん)
                               
それでは、また........


(らくガキ ) Wed, Oct 2 1996 00:29:09 JST