In motion 2003 - 増幅


ポップチルドレン
words & music 佐野元春


		君は3個のダイヤモンドを掘りあてて
		そして4個のダイヤモンドをなくしてしまう
		やがて眠たげな太陽が色褪せたとしても
		君は大丈夫さ It's gonna be alright...
		Pop children with a new machine
		Pop children with a new machine
		天国が君をみつめている
		Pop children with a new machine
 
		真夜中の冷蔵庫に手をかけて
		そして本当のことが知りたいんだよ君は言う
		食べかけのピザをそっとかたずけて
		誰も聞こえない声で君は歌ってる
		Pop children with a new machine
		Pop children with a new machine
		天国が君をみつめている
		Pop children with a new machine
 
		明け方にチキンスープを飲み干して
		そして退屈なんかじゃないぜと君は言う
		くしゃくしゃのベッドに座り込んで
		君はビデオフィルムのエンドマークを探してる
		Pop children with a new machine
		Pop children with a new machine
		天国が君をみつめている
		Pop children with a new machine
 
		暖かい夜に隠れている
		空っぽの電話ボックスにもたれている
		世界が新しく始まるまで
		気取り続けるのもステキだぜ
		
		君は3個のダイヤモンドを掘りあてて
		そして4個のダイヤモンドをなくしてしまう
		やがて眠たげな太陽が色褪せたとしても
		君は大丈夫さ It's gonna be alright...
		Pop children with a new machine
		Pop children with a new machine
		天国が君をみつめている
		Pop children with a new machine
 
		Pop children with a new machine
		Pop children with a new machine...

ああ、どうしてラブソングは...
words & music 佐野元春


		ああ、どうしてラブソングは乾いたカスタネットの音しか奏でないのか?
		肉体を枕にしてそれはまるでひび割れた骨がぶつかりあっているようだ。
		おれはおれたちの時代にしがみついているモラルのハンマーを憎む。
		その幻影にとまどいながら、
		ベルベットの雨、
		絶望の降りしきる夜、
		君は孔雀のように羽をひろげる。
		この世界で無残に壊れたものを再び壊しながら。
		夕暮れ時、
		踊り娘たちは彼女たちのイカレタ神の元へ帰ってゆく。
		人工的に豊かな実りの都市が口元に浮かぶ詩情にキスしている。
		そう、おれの記憶の中の君はとてもイカシテいた。
		コロンビア産の白熱に陶酔していた。

		おまえを名づけてみよう。
		A Saj e na an pe.
		慈悲と均等の土地。
		神々の眠る古き場所。
		国中の柔らかな猿の子ら、君らは自由と結婚すべきだ。
		若き孤独な連中たちのロマンス。だれも汚れてはいない。
		君らは「近代」という名の奇妙な前夜祭に招待された者たち。
		だれか君らをおおい隠そうとするのか?
		意志は持続しているのも知らずに。

		年老いた船乗りたちの声が聴こえる。
		まだ見ぬ暗がりの子ら、君らのすべての過ちが枠づけられている。
		おれは君らの情熱を撮影し、
		おれの仕事に君らを滑りこませてみよう。
		身勝手さに搾取されているのなら、
		言葉の激しさに燃え尽きているのなら、
		おれは君らの横にそっと身を横たえよう。
		君らは喜びを奏でる音楽のように、
		揺りかごや腹いっぱいの食糧を与え続けるんだ。
		君らは森や池でさまよう鳥たちのはばたきにも似て、
		そう、君らは太陽の子、
		君らは月の兄弟。
		この国の冷酷な習性にも染まらず、
		ひとところにとどまることをしらず、
		君らは君らのやり方で手足を動かす。
		その熱く性急な想いはだれにもじゃまできないだろう。

		国家よ、感じているか?
		うまく寄りそえない者たちが奮い立つまで辛抱強く待てないでいる。
		聖者が来ないと不満を並べたてながらエレクトリック・ギターをかき鳴らしている。
		凍てついてからもう長いあいだ経っている。
		国家よ、おまえの丘に立つさまざまな亡霊をあいかわらず守るがいい。
		時のすばやさに気をとられながら、
		自身の弱さをかばいながら、
		身を防ぎながらも闘い、
		やがて死んでゆく姿を想起せよ。
		まちがいなくおれたちは、慈悲と均等の国の子供たち。
		魅力的に不可能なゲームを遊んでいる。
		国家よ、聴こえるか?
		おまえはどこか遠くへいってしまった鷲の叫び、
		おまえは毒を盛られた狼のうめき、
		おまえは群れから離れた孤独なペリカン。
		おれはおまえのひろびろとした山々と豊かな平原に立ち、
		不吉に奏でられる風の音を感じている。

		かつて、ほろ苦い冬の門にひとり立ち、
		おおいなる決意を抱き、踏みだした君。
		春の風、
		鳩の瞳、
		呆実の収穫、
		ヒアシンス、
		憂鬱な冬を越え、君は喜びを唄う。
		海に釘づけされた瞳ではなく、
		どこか不可解な場所にいることを嘆くのではなく、
		おれとともにいてほしい。
		この街の影に息をひそめる愛しき者よ。

廃墟の街
words & music 佐野元春


		柔らかく気の触れたこの世界
		くるおしく踊る君を見てる
		街では救世主達に溢れて
		誰もが幸せに滅びてる
 
		真夜中に漂うサテライトニュース
		電話のベルで聞こえない
		君の唇 君のムード
		自由な世界が好きさ

		街あかりの消えた夏の午後
		見捨てられた子供達の群れ
		退屈な夜が訪れる
		罠に気づくのはむずかしい
 
		街路にさざめくバイオレンス
		まばたきをしているひまもない
		すこしづつ命がかくれてく
		今夜はまともじゃいられない
 
		「帰らなくちゃ」と君は言う
		窓辺に揺れてるシルエット
		どしたらいいのかわからない
		君に恋してしまいそうさ
 
		彼女はナイーブなナイチンゲール
		でもナイーブのままじゃいられない
		甘いパヒュームにくるまれて
		壊れた月にささやく

		柔らかく気の触れたこの世界
		くるおしく踊る君を見てる
		街では救世主達に溢れて
		嵐の後の青空
		嵐の後の青空
		嵐の後の青空

アルケディアの丘で
words & music 佐野元春


		アルケディアの丘で洗濯の準備をする一角獣が、
		ミシンの縫い目を気にしながら咳ばらいをすると、
		血色のいい郵便配達人が
		「ああ、この家もまたもうまもなく売りにだされるのだな」
		と自分のポケットから走り書きのような何かをとりだし、
		オレンジ色の犬が3回吠ると
		郵便配達人は靴についた泥を払いながら
		まもなく日が暮れてゆくのを感じていた。

		1時間前に会った40代の婦人が
		そのあまりにもどうどうとした美しさを見せつけていたので
		郵便配達人の記憶は分解し、拡散し、分裂し、解体した。
		行き場をなくした一角獣は郵便配達人の脳味噌の断片を拾いあげ、
		哀しいというのではなく
		もっと複雑にこんがらがった深い徒労感に近い感情にくるまれながら
		誰にも聞き取れない特別な声で歌を唄いだした。

		その声はあたり一帯、谷中に響き渡り、
		やがてひまわり畑にまで届こうとしていたので、
		僕は走った。走って走って走って
		岬の端の橋のたもとまで走った

		やがて走り疲れて、
		たどり着くとそこはアンティチョークの畑の中
		洗濯の準備をする一角獣が、遠くで俺を見つめている
		俺はそっと一角獣に近寄ってせき払いをしながらこう聞いた。
		「郵便配達人はどこへ行った?」
		すると一角獣は首を振ってこう言った
		「残念ながらあの家は、もうずっと昔に売りに出ました」

		アルケディアの丘の上で、
		アルケディアの丘で...

ベルネーズソース
words & music 佐野元春


		おれたちの住んでいる世界は、おれたちが知っているたったひとつの世界だ。
		そこでの喜びはなかば義務づけられた喜びにすぎない。
		その世界を超えたなら、
		ただの無、何も残らない。
		死は何も語りかけてはくれないだろう。
		おまえが熱心に切望している世界は、すでにおまえが所有しているじゃないか。
		時々おまえは、あてにならない夢に誘拐されてしまう。
		とらえどころのない実体に寄りかかろうとしてしまう。
		形のない愛、
		風に舞う真実、
		不規則な正義とは、
		いいかげんに手を切ってしまえ。
		感性という名の底知れぬ自尊心が おまえの愚かさをいっそう際立たせる前に、
		忌わしい幻を焼き払え。
		誕生、労働、死、
		その循環回路のどこに引っかかっていようとも、
		おまえの忍耐と冷静が限界にきたら、立ち止まって振りかえるがいい。
		永遠に実体のともなわない労働などくそくらえだ!
		遊園地の閉館時間につじつまを合わせるような消費行為などくそくらえだ!
		おれは密かに考えた。
		「連中にはついていかない。ついていかなくても不安じゃない」。
		連中が念入りにしくんだ架空の悲劇のなかで、
		損な役回りを演じるほどゆとりがあるはずがない。
		おまえは連中が取り込んだ神話の、
		目もくらむような豊かさにためいきをついているが、
		それと同時に、お前自身の生の充実は、絶えまなく放棄されている。

		おれはけっして公明正大な人間じゃない。
		だれも公明正大な人間ではない。

		ある心地よい緑の風が薫る頃、
		彼女は、「ベルネーズソース」と叫びながら、台所へ駆けこんでいった。
		そしてあまりにも退屈な自分の人生に嫌気がさして、
		一日中泣いた。
		しかしほんとうに価値あるものは、君が台所で作りだすもののなかにある。
		世界でいちばんありふれたホイップクリームは君のなかで求心的だ。
		味に変わりばえのしないスープもまた君のなかで求心的だ。
		君がくちずさむ唄の愛らしさのなかで君は発酵する。
		君の嘆きが裸になるとき、
		君は自らの神になる。
		お湯の沸騰する音が君の名を呼ぶ。
		棚に整頓された食器たちが、君の哀しみを歓迎している。

こんな夜には
words & music 佐野元春


		こんな夜には霧に向かって言いたいことがある。
		近所のみなさんには迷惑かもしれないが許してほしい。
		音楽のなかには巨大な音量で再生されてはじめて意味をもつものがある。
		当然のことだ。
		おれの体内を歩きまわる、Eフラットの即典的な旋律。自由に挑ねまわる魔法の音符たちは、
		おれの窓を越えて街路へと逃げてゆく。
		和音がみえすいたような循環を繰りかえすあいだは、
		鍵盤を叩く君の指も鈍く曇りがちだ。
		君の演奏は、今夜おれがどうしても欲しかったしめくくりのための気つけ薬なのだ。
		景気よくいこう。
		音の砂漠に浸る沈黙は、地上すれすれのところでかげろうのように燃え、
		乾いた花は思考の刺を隠している。
		カメレオンは暗闇でバラ色に変色し、
		おれは苦い失望が甘いワインに実るのを待っている。
		砂漠に降るひと雫の雨をつたって、
		おれは巣に戻っていく。

		おれの母は傷みゆく大地。
		おれの父は汚染されたバラ。
		古代、はじめてこの土地に棲みついた野蛮人とともに、
		おれは唄う。
		彼らは足で大地を踏みならし、
		原始的な太鼓を打ち鳴らし、
		雷を呼び、
		大気の塵にしみこんだ陽の光を集める。
		燃えさかる夏の夜の偉大なる即興演奏よ!
		とうもろこし畑一面を覆う悪霊たちをどうか追い払ってくれ!
		休みなく流れる河を誘惑してくれ!
		欲望を紡ぐ景色と、そのどす黒く淀んだ暗闇の感触のなかで、
		大地に棲むすべての生き物たちを打ちのめしてくれ!
		そして、遠くから聴こえてくる地鳴りの音に気をとられているあいだに、おれの形を変えてくれ!
		それはたとえば、薄くて指の曲がりくねったトカゲがいい。
		太陽の裂け目から光とともに舞い落ちる、最高に優雅な旋律に導かれて、
		細胞が破裂するほどの歓喜の絶頂に立って、
		おれは自分の胸を叩き続けよう。
		そして、身と魂にまとった一切を剥ぎ取り、
		裸の谷を越え、よたよたと何千年もかけて歩く。
		やがて山の向こう側にひろがる、想像もできない陽の入りと対面し、一切の幻を焼き払う。
		おれはそのとき生まれてはじめて、トカゲであることの屈辱と喜びを同時に経験する。
		
		夏の夜の偉大なる即興演奏よ!
		おれもともに奏でよう。
		狂気を装った滑稽な偽悪者のために、
		狂気を讃える哀れな偽善者のために。
		目に見えぬ異形の群れが菩醍樹のもとに集っている。
		形を失くした半獣人がエデンの園のごみすて場で泣いている。
		祈りをたてる者たちの車輪の最後のひとまわりにからまりながら、
		おれはとりとめない差異化の遊戯から撤退する。

		小径を歩く。
		地面に目を落とす。
		いつしか無意識に胸に刻まれた言葉、
		「足元に気をつけろ、そしてしやべるな」。
		あなたはおれの後ろで微笑んでいるのか?
		多分いないだろう。
		いつも振り向いてしまう。
		いつかあの広大な丘に立とう。
		まっさらな夏に泳ごう。
		噴水のしぶきの向こうに新鮮な太陽を見上げよう。
		肉体は燃え尽きても、
		おれはあなたの光のなかに生き残る。

		唯一の絶対的存在よ、
		ひとがあなたをどう呼ぽうとかまわない。
		どこに棲んでいようと興味がない。
		ただひと言言わせてほしい。いったい何が起こっているのか?
		あなたは親友を失くした時のように拍子抜けした顔をして、
		今にもどこかへ行ってしまいそうだ。
		飲み物が欲しいのなら遠慮なく言ってほしい。
		人間と等身大の酒を用意しよう。
		あなたはひとびとと会話を交わしているより、
		酔払っていたほうが素敵に見える。
		実際、まともに運転できやしないし、
		もったいぶるように披露してくれたハープの演奏も、言っちや悪いが退屈だった。

		唯一の絶対的存在よ、おれはすっかり失望しているんだ。
		でも、別れぎわにおれは言った。
		「雨に濡れなきやいいけどな」。
		するとあなたは、
		「いや、そんなことはない」と言ったのもつかのま、
		空の雲は裂け、
		おれは、遠く西側のどこかで、
		洪水の轟く音を聴いた。

日曜日は無情の日
words & music 佐野元春


		若葉の頃
		背に白い帆を結んだ彼女は
		靴をボロボロにして
		くだらないしきたりをカーペットにて
		楽しみを探している
		ゆったりとしたまばたき
		粗いセーターをまとう彼女の精神は
		きれいでも空っぽでも
		いずれみんなの知るところ
		むだ使い
		でも気にしない
		彼女の言葉は 使い使われ
		すり減り 捨てられ
		とことんまで誘惑された
		と いうのも
		世界が絶望しているから
		僕は動じなかった
		僕は彼女を一瞬 満足させた
		始めから 終わりまで
		すき間というすき間を埋めた
		ある時 彼女は知った
		日曜日は無情の日
		前触れも あいさつもなく
		問いと答えが逆になる
		数字の2は1たす1に
		インクは水と植物に
		コップは砂と炎に
		闇は眠りと夢に

		波は風と鼓動に
		オムレツは卵と太陽に
		そして彼女は 無に戻る
		いつも新しい 彼女の無
		芝のように強く
		夏のように呼吸する
		立ちどまることもできるし
		忘れることもできる
		無のために働きもし
		無のために踊りもする

		日曜日は無情の日
		前ぶれも あいさつもなく
		問いと答えが逆になる

何もするな
words & music 佐野元春


		何もするな、
		正午になる少し前、
		現実と架空のあいだをくぐり抜けて、
		偉大なる決意の時がやって来る。
		俺は片足で立ったまま眠り、
		布きれもまとわず泳ぎ、
		最小限の力で、
		その激しくうずまく輪の中になだれ込む

		何もするな、
		あるがままでいろ。
		消息不明の小舟に乗りあわせた船乗りたちは
		淡くまたたく双子座に導かれ、
		薄く削られた予言のひときれで、
		どうにか生きながらえていくだろう。

		何もするな、
		今夜、欲望の浮き袋に身を預け、
		夜空にかかる木々の精霊たちの、気高いダンスを見にいこう
		おまえとの出会いも、
		運命というものを度外視してみれば、取るに足らぬできごと。
		いわば、虚ろに固められた視界のなかに
		偶然、浮かびあがった亡霊のようなもの。
		もし、共に生きてゆく不自然さに理由があるとすれば、
		それはおまえの献立表に陳列された架空の経験のせいだ。
		おれはおまえの古びた体重計の不完全さを修理することはできない。

		何もするな
		何もするな

世界劇場
words & music 佐野元春


		おまえの華やかさの仕組みを解剖してみると
		それがどんな規則に従っているのかよくわかる。
		楽しい日々をなつかしみ、
		日々の支払いを心配し、
		子孫の話題に絶望し、
		慰謝料がどれぐらいかを計算している
		宿命のあまりにも広い野原のなかで、
		そのむきだしの感情は、
		博物館に飾られたアザラシの髭。
		風にもてあそばれるこわれたイカダ。

		世界劇場へいこう、
		そしておまえの演技の深さに心打たれよう
		世界劇場の観客席では、だれもが美しく支配されたがっている

		おまえは、無垢な瞳の中に増殖する
		残酷な腫瘍を切開する少女から、
		なんとか金をかすみとろうとしている。
		永遠に矢を放てない、彫刻のケンタウルスが、
		調子のいい舌の先でおまえに調子を合わせようとしている
		軽蔑と嫉妬からおまえの覆面は剥ぎとられ、
		近くにいる者たちは恥ずかしさに身をよじる
		おまえは、からっぽな顔を伏せて、意味のない涙を流す。
		声高らかに、弔いの歌を唄いはするが、
		追放された祖国ではだれも聴こうとはしていない。

		世界劇場へいこう、
		そしておまえの演技の深さに心打たれよう
		世界劇場の観客席では、だれもが美しく支配されたがっている

		(interlude)

		おまえの庭に積まれた
		貢ぎ物のヤマにこだまする、
		傷心者の叫び、重宝の轟き、おおげさな拍手、
		それらはすでにシナリオの一部となり、
		巷ではチケット代が割り増しされている。
		おまえのカスタネットの女王が、幕間の休憩に衣裳を修繕している。
		おまえの小間使いが、テーブルの下で悲しみの演技に没頭している。
		おまえの兵隊たちは、寄宿舎まで薬を取りに帰っている。
		おまえの同性愛者たちは喜びに身震いし
		おまえの無垢な踊り娘たちは、内なる罪の烙印を引きずりながら、
		湖のほとりでうちひしがれている。

		ああ、世界劇場へいこう。
		たとえ舞台が混乱し、とりとめなく見えたとしても
		それを信じてはいけない。
		世界劇場の観客席では、だれもが巧みに支配されたがっている。
		それをよく知っていることだけが
		おまえの唯一の誇りなんだ。

何が俺達を狂わせるのか?
words & music 佐野元春


		何が俺達を狂わせるのか?
		一cm、二cm、三cm
		日ごとに、ものさしが伸びてゆく
		目を見ている。
		目のものさしは憎しみを測り、愛を測る
		君とおれ、ともにベッドに座りこみ
		以前よりもっと狂って、
		まもなく2004年にさしかかる
		おれたちは三個のダイヤモンドを掘りあてて
		四個のダイヤモンドを失くしてしまう
		一cm、二cm、三cm
		何が俺達を狂わせるのか?

		何が俺達を狂わせるのか?
		メイクラブ。
		金を稼ぐよりもっと夢中になれる
		反作用っていうのを知ってるかい?
		それは、ガツンと音をたててやってくる
		孔雀もアライグマもおれたちも、そもそも自由に歩く、
		自由に倒れる、自由に愛を交す。
		愛の絨毯に深々と埋もれ、
		ぐるぐるまわる夜の星が天井に映っている
		ふたりのためのプラネタリウム
		今夜は奇跡のスーサイド・ハネムーン
		でも、楽しい時は
		あまりにも早く過ぎてしまう
		何が俺達を狂わせるのか?

		何が俺達を狂わせるのか?
		一cm、二cm、三cm
		いとしいひとたちは闇の中
		何が俺達を狂わせるのか?
		いとしいひとたちは影の中
		何が俺達を狂わせるのか?
		一cm、二cm、三cm
		狂っていくなんていやだな


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