'The Essentian Cafe Bohemia' リリースに寄せて
海老沼大輔
それは、唐突に、生活の中に姿を現した。最初の1ピースは、東京マンスリーでの「Strange Days」のライヴ初演。次には、早速リリースされた「Strange Days」と劇的に姿を変えた「Angelina」をカップリングした7インチシングル。最後に、マガジン「This」の第二期のスタート。
それをきっかけに以後8ヶ月もの間、真綿が水を吸い込むようにそこにある音、言葉、写真、ポエトリーが日常生活の中に割り込んで来た。
“体制をビートしろ”
“風向きを変えろ”
“何も変わらないものは何も変えられない”
そのまま受け取るには少々複雑だけれども、今も心の奥底に突き刺さったままいくつかのアフォリズムは心音に負けないビートを奏で続けているし、日常生活でピンチに陥ったときには退屈と怠惰という怪物に抗う力をくれる。
当時は?マークに埋もれながら読み進めた元春とアレン・ギンズバーグとの対話における、“ビートはボヘミアンへと姿を変えて、今も生き続けている”という言葉。知らず知らずのうちに自分の中に自分なりの翼や部品をくっつけたりしながらも“最良の精神達”の欠片がしっかりと息づいていることにあれから20年が過ぎようとしている現在、あらためて気付かされたことがこの上ない喜びなんだ。
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