1985年12月22日、NHK-FMをベースにオンエアされていた「元春レイディオ・ショー」に続いて、佐野元春にとって二つめのDJプログラム「ザ・ハートランド・アワー」がFM横浜の開局と同時にスタートした。
日曜日の午前10時という時間帯にふさわしい快活なテーマ・ミュージックに乗って、この番組での佐野のDJingは「元春レイディオ・ショー」以上に陽気でフレンドリーだった。
ブリティッシュ・ロックを中心に同時代のアーティストたちの作品を紹介する「ビリーヴ・イン・マジック」、アトランティックやモータウンからラフトレードやナイアガラまで、さまざまなレーベルを取り上げる「ロック・レーベル」、リスナーから友人へのメッセージを佐野が伝えてくれる「フレンドシップ」、そして「リクエスト」といったコーナーで構成する「ザ・ハートランド・アワー」は、佐野にとって特別な場所・横浜を拠点にした地域限定版“レイディオ・ショー”として多くのファンに愛された。
関東甲信越のファンは放送時間になるとより電波のキャッチしやすい場所まで移動して放送を聴いていたという。一方、聴取することのできない地方に住むファンはファンクラブ誌などの投書ページを利用して同録テープを入手していた。
1987年3月29日、「元春レイディオ・ショー」とほぼ同時に「ザ・ハートランド・アワー」も終了したが、そのスタイルは同年5月にスタートした「AJI FM Super Mixture」に受け継がれてゆく。