08 | カフェ・ボヘミア
1986 -1988



【Cafe Bohemia】

(1)“ボヘミアン”── この言葉には、“社会の習慣・慣習などにはとらわれず、芸術などを目指して自由に生活する人”の意味がある。そこから、1920年代のパリのカフェように、また同年代のニューヨークのアルゴキン・ホテルのように、 画家や作家を目指し自由に生きるボヘミアンが集まる場所をいう。

(2)1986年発売の佐野元春の5作目のアルバム・タイトル。同年スタートした佐野元春個人レーベル“M's Factory”からの初めてリリースされたアルバム作品となった。また、このアルバムから、佐野元春はザ・ハートランドとの結びつきがそれまで以上に強くなり、アルバム・ジャケットにも“Motoharu Sano with The Heartland”と明記された。ヒット曲「ヤングブラッズ」「聖なる夜に口笛吹いて」他、「ワイルド・ハーツ」「インディビジュアリスト」など、現在でもライヴで頻繁に演奏される名曲が多く収録されている。

Cafe Bohemia

(3)この時期の佐野元春の活動コンセプトはすべてこの“カフェ・ボヘミア”というキーワードに集約されていた。個人レーベル“M's Factory”の発足、佐野元春責任編集によるカルチャー・マガジン「THIS」の再創刊、自身のレーベル・プロデュースによるコンピレーション・アルバムの制作、巨大化していくライヴ・シーンに対するアンチ・テーゼとしての“東京マンスリー”、個人レーベルからリリースの3連作シングル……等々、それまでの日本のミュージック・シーンの慣習にとらわれない活動である。このコンセプトは、さらに細分化され一つ一つの活動の中にも入り込んでいき、たとえば、この時期に再スタートを切った雑誌「THIS」の編集テーマにもなっている。

(4)佐野元春のファン・クラブの会報誌の誌名。

(池田聡子)



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