06 | 音楽バラエティ番組「MUSIG」レギュラー出演 2005-2006

 佐野元春ほど、コメディアンやお笑い芸人に敬愛され、かつ、共演も多いアーティストも珍しい。バブルガム・ブラザーズ(「ソウルスピリット・パート」1985年)や片岡鶴太郎(「Looking For A Fight」1985年)、とんねるず(ANDY's「Freedom」1997年)などへ楽曲を提供したことは有名だが、ダウンタウンの番組「HEY! HEY! HEY!」や「ガキの使いやあらへんで」などにも出演。その絶妙な絡みはファンならずとも記憶に残るものだろう。佐野自ら“お笑い”(というか“センス・オブ・ユーモア”という言葉が相応しい)に理解を示し、コンサートやレコードなどでも、それをアンダーステイトメントとして表現している。その独特の語り口(佐野節!)をお笑い芸人が真似ることもあるが、それは馬鹿にしているのではなく、限りない愛情を込めているからである。

 そんな佐野を敬愛する山口智充(宮迫博之との“くず”が2003年にリリースしたファースト・アルバム『くずアルバム』にゲスト参加し、共演している)とともに出演したのが、音楽バラエティ番組『MUSIG』(読売テレビ制作・日本テレビ系列放送。2006年4月から2007年9月まで)である。

 山口智充が扮する「MCグーチー」が独断と偏見で選んだ最新の音楽情報をカウントダウン形式で紹介。佐野は「佐野ROCK!」というコーナーに登場。「ROCKな似た言葉」として、山口と佐野元春が番組に寄せられた似た言葉をロックか、ロックでないかを判断する。ロックへのこだわりをおもしろおかしく、かつ、明快に斬っていく。いかにも佐野らしい切り口と、なかば、感心しながらも呆然としている山口の対比の妙が独特の空気感を醸し出していた。

 なお、番組では山口智充(ボーカル)、俳優の山本耕史(ギター)、佐野元春(作詞・作曲)
で“The Whey-hey-hey Brothers”を結成。シングル「じぶんの詩-A BEAUTIFUL DAY」がリリースされている。

(市川清師)

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