ザ・ハートランドとの最後のセッションによるスタジオ録音盤。ロックンロールの直接的な表現にあふれていた『Sweet 16』に較べても、R&B的な色彩が強いのが特徴。90年代の初め、バブル経済の破綻によって混乱した社会を背景に、そこに生きる人々に思いを寄せた曲が並ぶ。
アルバムを貫くシャッフル・ビート、ソウルやゴスペルの力強い節回し、そして説得力のある歌詞と熱意のこもったヴォーカル。〝人間の無垢な感情(イノセンス)は、決して成長と引換えに失ってしまうものではなく、大きな円環(サークル)の中で受け継がれてゆくものなのだ″ (佐野元春)。この言葉が本作のコンセプトでありタイトルにも反映されている。
父親の死に伴う債務整理やプライベートでのトラブルに当たって活動を休止。様々な苦悩や経験で、詩はさらに哲学的な洞察力を増している。