08.Jul.01 at Zepp Fukuoka



 東京から博多まで、新幹線で5時間強の旅。とりあえず開演に間に合ってよかった。福岡の空も当然のように快晴だ。会場内もファンの熱気でヒートアップしているが、暴走したり爆発したりするような危険性は感じられない。そこには“愛”がある。福岡のオーディエンスは温かい、というのが筆者の第一印象だ。

 今夜はこのツアーでは初めてオープニング・ナンバーが変更された。他の会場ではアンコールで演奏されていたあの曲がライヴハウスならではの親密な空気を醸し出す。そう。親しい友人たちを自宅に招いてのリヴィングルーム・セッションのような雰囲気が今夜のギグにはある。ステージの上の佐野とH.K.B.もこれまでで最もリラックスしているように見える。

 “Rock & Soul Review”でのミュージシャンたちのソロ・パートは当日のインスピレーションで自由自在に変化する。どちらかといえば今夜はいつもよりも饒舌なプレイが目立つようだ。KYON、佐橋、山本らのソロがそれぞれのメッセージを語り、それに応えてバンド・アンサンブルも変化する。彼らの集中力はより高まっているようだ。現在進行形の佐野とH.K.B.のエッセンスが凝縮された素晴らしいギグだった。

 インタープレイはミュージシャンたちの会話だ。今夜はリヴィングルームでの親密な、そして本音の会話が楽しめた。「俺はこう思ってるけど、お前はどう思う?」「そんなら俺はこの線やな」「おっ、そう来たか。だったら俺もこのラインで攻めちゃうよ」「あ、なんちうことさらしまんねん。そら禁じ手やないか」「今夜は無礼講じゃけん」「ほな、俺も本気でいてこましたる」といったような会話がステージの上で交わされていたのかもしれない。あくまでも筆者の想像に過ぎないけれども。

 言ってみれば佐野とH.K.B.のリヴィングルーム・セッションに招かれたようなものだから、今夜のライヴに参加することのできたオーディエンスはラッキーだ。これは誰もが体験できることではない。今夜だけの特別なギグを大多数の観客はリラックスして楽しんでいた。福岡のオーディエンスは音楽をよく知っている。

 終演後、KYON、佐橋、井上、古田、山本はスタッフと共に居酒屋で陽気に打ち上がった後、山KYON弦ツアー(別名・麺通団ツアー)でおなじみの中洲のライヴハウス「PLAYER」に移動。午前0時30分から深夜のホーボーキング・セッションが始まった。なんとオープニングは「99ブルース」。その後、ヴォーカリストの浅原伸、ピアニストの佐山雅弘という二人の巨匠も加わり、真夜中のジャム・セッションは午前3時まで続く。バンマスを務めた佐橋がエレクトリック・ギターを弾きまくり、山本のバップ・モードのブロウや古田のドラム・ソロなども堪能できたが、何と言っても圧巻は佐山が歌った関西弁のブルース「すんまへん」。顎がはずれるかと思った。

Special Thanks to Mariko K.

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