15.Jul.01 at Aichi Koseinenkinkaikan
昨夜のライヴがツアーのファイナルにふさわしい最高のパフォーマンスだっただけに、今夜のギグがいったいどんなものになるのか、ヴェテランのコンサート・クルーも含めて、誰にも予想できなかった。しかし佐野が何かを考えていることはたしかだ。今夜のセット・リストが特別なものになることは間違いない。

楽屋で瞑想中の佐野が欠席したリハーサルではH.K.B.は「ナイトライフ」や「悲しきレイディオ」をヴォーカル抜きで演奏。「なんだ、できるじゃん」「シータカ、よく覚えてるね」「16年ぶりに叩いたんじゃないの?」「だって身体が覚えてるもん」などと談笑している。今夜のギグのために演奏したわけではない。彼らはこのメンバーで演奏できることを十二分に楽しんでいる。

予想通り、今夜のセット・リストは大幅に変更されている。前日のセット・リストと比較すれば、「ジグゾー」「レインボー・イン・マイ・ソウル」「誰かが君のドアを叩いている」が外され、スポークン・ワーズの「冗談の探究」と「約束の橋」が加えられた。これまではアンコールで演奏されていた「Young
Forever」と「So Young」が本篇に加えられ、常に本篇の最後に演奏されていた「Sail on」がアンコールにまわされたことも大きな変化だ。

言うまでもなくコンサートの印象も大きく変化している。ツアーで積み上げてきたものを最終公演で崩してみせるのは佐野の得意技だが、彼のライヴ・パフォーマンスは20年前から常に創造と破壊を繰り返し、さまざまな死と再生の物語を僕らに見せてくれた。昨夜と今夜、名古屋に集まってきたオーディエンスは新たな創造と破壊を目撃し、21世紀最初の夏に佐野元春がステージの上のキャンヴァスに描いた死と再生の物語をまるごと体感できたはずだ。そして10年後、“Rock & Soul Review”はふたつのファイナル・ギグのあったツアーとして記憶されるだろう。

終演後、フルタたかしとフルーターズは打ち上げ会場の中華料理店で遂にデビューを果たし、その後、ライヴハウス「TOKUZO」に舞台を移して、さらに2回の追加公演を行なった。といっても彼らのレパートリーはまだ1曲しかないのだけれど。
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