司会:森本真也 
構成:今井"KenG"健史 
デザイン:小山雅嗣[Beat Design] 
編集協力:M's Factory 
取材:2002年11月。都内某所の居酒屋にて 


 年末年始、何かとお酒を飲む機会が増えるこの季節。今年は今までと違う特別なお酒を味わってみませんか。滋賀県・近江八幡に酒蔵をもつ創業280年の老舗、西勝酒造とのコラボレートで生まれた純米酒。その名も「元春(ガンシュン)」。元春やホーボー・キング・バンドのメンバーによる利き酒を経た見事な味わい。新酒と古酒の絶妙なブレンド。元春直筆のラベル。そして、味を損なわないための限定生産…。何もかもが贅沢な造りのこの1本は、あなたの心を素敵な新年へと誘ってくれるでしょう。
 今回は、西勝酒造の西村 明さんを交え、純米酒「元春」の誕生秘話について、ぐい呑みを片手にホロ酔い対談をお届けします。


:::: 佐野さんの歌詞の中にもいろいろお酒が登場しますが、実際に佐野さんとお酒の付き合われ方、普段の飲まれ方などお話いただけますか?

佐野●僕はアルコールが弱いんですよね。だから、お酒についての詳しいコメントというのはできないんだけど、ただ、全国をツアーして回っているとその土地土地のお酒を振る舞われて飲む。そうすると、やはり自分が美味しいなと感じるものもあれば、これはちょっと違うなと感じるものもあるんだよね。今回、西勝さんのご厚意で不遜にも自分の名前の付いたお酒を造っていただけるということで、こんなことは人生に一度しかないだろうね。今日はいろんなお話を伺えるんじゃないかと、楽しみにしています。

:::: 佐野さんの名前を冠した「元春(ガンシュン)」というお酒ができるということで、まず佐野さんのほうから西勝酒造さんにオファーがあった際に、西勝さんのご反応はどういうものでしたか?

西村●実はですね、私の母方の祖父が同じ「元春」という名前でして、それも何かご縁であったのかなと。ですから、佐野さんがデビューされた時にお名前を拝見して、「あぁ、爺さんと同じ名前だな」というのは、その頃から思ってはいたんですけれど(笑)。

佐野●光栄です(笑)。

:::: そういえば、西勝さんの銘柄で「ハートランド」というのがありますが、このネーミングの由来というのも佐野さんなんですか?

西村●残念ながら、なかなかそこまでは上手くいかなくてですね(笑)。近江八幡という滋賀県の町は、近江商人の発祥の地ということで古い町並みが残ってるんですね。そういう町並みをきれいにしていこうという運動が30年くらい前に起こりまして、その名前が「ハートランド運動」というんです。滋賀県ですから近江牛を飼育しているところがすぐ近くにありまして、堆肥が出るわけですよ。米もその堆肥を使って、契約栽培で化学肥料を使わないで、農薬も控え目にして作ってもらってるんですね。そして、その藁をまた牛が喰うという。

佐野●エコロジカルですよね。自然の堆肥を使う理由というのはどこにあります?

西村●やはり旨味が違いますし、嫌味がないといいますかね。清酒というのは地場産業ですから、地域に還元したいというのがありますし、ウチなんかで契約してお米を買うことによって、農家の方々も潤えば良いなというのがあります。

:::: 今日サンプルが上がってきたわけですが、これが出来上がるまでに何度も試飲などされたわけですよね。その過程で、味などについてどういった注文があったんでしょうか?

佐野●まず、西勝さんから「これを基本に」というお酒をいただきまして、「これは間違ったことを言ってはいけない」ということで、まずはバンドのところに持って行きました。丁度ツアー中でしたので、酒好きの舞台監督、スタッフにも集まってもらって、「さっそく試飲しよう、みんな意見を言ってくれ」というところから始まったんです。で、意外にもみんなの評価がビシッと最初に定まった。それは「この辛みは非常に上等なものだから、このままでいただきたい。こういうお酒は普段僕たちの近くで売っているものではないですよ」というコメントであって、「実は、これは元春という名前を付けて僕のファンの人たちに飲んでもらいたいんだ」という話をしたら、「それなら、僕たちみたいなゴリゴリの酒飲みの話じゃなくて、もう少し一般の人たちのことを考えて飲み直しましょう」ということで、またみんなガブガブと飲み始めて(笑)、それで出てきたのが「普通の人にとってはこの辛み、そしてちょっとした酸味がやや強く感じるかもしれないので、度数を若干下げることで少し丸みをもたせたらどうか」という意見が出たんですね。

KYON●そうですね。このお酒のキャラクターである強さとか辛さとかはみんな大好きだから、それを変えるんではなくてね。それで、度数を見たら18度とか書いてあって。日本酒は度数もいろいろあるんですけど、普通に売ってる14〜15度くらいだとちょっと物足りないだろうと。で、試しに1〜2度ほどアルコールのパーセンテージを落とすのはどうでしょうと。

:::: それで、出来上がってきたのが今日実際に試飲していただいている「元春」というお酒なんですけど、実際に試飲された感想などはいかがでしょうか?

佐野●一番最初に飲んだオリジナルとの比較での言葉だけれども、口の中での味の広がりがこちらのほうが広い気がしました。香りはクセがなくって、飲みやすい印象があります。

KYON●見事なんですよ。僕はちょっと辛めの、芯のすっきりしたやつが大好きなんです。最初に飲ませてもらった原酒で好きだったすっきりした部分が、よりくっきりと後味に残っている。だから、バランスは抜群だと思います。

西村●すごい丁寧なお手紙を佐野さんからいただきまして、縦書きで筆文字で書いてあって恐縮して読ませていただいたんですけど、今仰ったようなことがしたためてありましてですね、それを私なりに解釈して、こうすればお気に召していただけるのではないかと思いました。その種明かしをしますと、まず最初に飲んでいただいたのは、今年の春に出来上がった純米の原酒を常温で貯蔵しておいて、秋に瓶詰めしたお酒なんですよ。ですから、まだすごく固いお酒なんですね。多分、その辺が日本酒を飲み付けていない方には厳しいだろうなというのは、もちろん私もそう思っておりましたので、古酒をブレンドしました。3年くらいでちょうど良いものがありましたので、この新酒を半分、古酒を半分ブレンドして、加水して度数を15度9分に落としたもの。あと、もう1種類が新酒を1/4で古酒を3/4ブレンドした、この2種類をお送りしたんです。それで新酒が少ないほうは、やはりコッテリしすぎていたというご判断なのでしょうね。

:::: そのお酒ですが、飲み方のお奨めはありますか?

西村●やはり常温から、人肌よりちょっと熱いくらいの温度帯で召し上がっていただけると、一番味が分かるんじゃないかと思いますね。冷蔵庫などに入れておかれると、味が分からなくなってしまいますので、冬場ですから少しお燗でもしていただいて、お気に入りの土もののぐい呑みででもゆっくり召し上がっていただけると、夜長には一番良いのではないかと。

:::: 西勝酒造さんの敷地内には、ライブスペースの施設があるということですが、今までどういったアーティストが出演されましたか。

西村●代表的なところでは、チャボさん、友部正人さん、三上寛さん、加川良さんなど、その年代の方はたいがい出演していただいてますね。若向け(笑)では、ビギン、三宅伸治さんであったり、遠藤ミチロウさんであったり、リクオさんであったりと。そこは多目的スペースで、普段は常設で酒造りの道具を展示してあるんですけど、ライブをやったり、ギャラリーとしていろんな作家の方、絵描きさんであったり陶芸の方であったりにも利用してもらっています。前に、どんと(元ボ・ガンボス)さんのライブをやった時には、彼の絵を壁面に展示してそこで彼に歌ってもらうということをやったんです。あと、もともとのきっかけというのは、私がKYONさんの軽音楽部時代の後輩であるという(笑)。そういうお付き合いですね。

:::: 何でも、ベースを弾かれていたそうですね。

西村●はい。その頃に教えてもらったという(笑)。

KYON●僕が京都大学の軽音楽部で「ドクター」というバンドをやってまして。当時「スーパーミルク」というバンドがあって、そこでベースを弾いていたのが……。

西村●私であったという。いろいろと教えてもらいまして、ご縁でこういうふうなところまで来てしまったという(笑)。

佐野●ぜひ、僕らもホーボーキング・バンドで演奏しに行かないとね。

西村●ありがたいですね。

:::: それでは、最後にこのお酒を手にしていただくファンの方にひとことお願いします。

佐野●今回は光栄にも西勝さんのご厚意に甘えて、元春ブレンドのお酒が晴れて完成しました。年末年始はお酒を飲む機会も多いでしょうから、年末に飲む方は一年の憂さを忘れて、年頭に飲む方は一年の健康と繁栄を願って、楽しく飲んでいただければいいな、という感じですね。名前も新年っぽいでしょ、お年賀にも使っていただきたい(笑)。

KYON●そういう意味で、逆に今までこういう名前のお酒がなかったのが僕なんか不思議なくらいで。だって、こんなぴったりなねぇ、名前からしてさぁ、そりゃこの季節、お正月にぴったりなわけですから(笑)。そういうホーボーキングの出会いと、僕の京都の出会いがミックスされて完成しました。これはもう大推薦。……でも、僕の分もなくなるとちょっと困るんですけどね(笑)。

佐野●じゃあ、完成を祝って。

一同●乾杯。


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西勝酒造(株)は享保二年(1717年)の創業、水郷と近江商人のまち・近江八幡唯一の蔵元。

今、MWSストアでは、2002MWS限定純米酒「元春(ガンシュン)」を販売しています。

300本限定販売

[ 完 売 ]
予定数を完売しました。ありがとうございました。
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