「テレビに出ないという足カセをいちばん最後に取り払ったアーティスト」などと評されたこともある佐野元春が、TDKのカセットテープのCFに出演したことはファンを大いに驚かせた。

「Wonderland」をフィーチュアしたソニー「ウォークマン」のCFをはじめ、『エレクトリック・ガーデン』の音源を提供した朝日新聞やキヤノンのCFなど、これまでにも幾つかのCFに音楽を提供したことはあったけれど、佐野自身が企業CFに出演するのはこれが初めてのこと。
しかし「音楽は力。今君は、それを手にしている。」という力強いメッセージを発信し、モノトーンとラヴェンダー色のコマ割りで強弱をつけた画面の中でギターを抱えた佐野が活発に動きまわるこのCFは、「The Earth Mooving Music」というキャッチコピーそのままに音楽のパワーを伝えるものであり、佐野元春の映像作品のひとつとしても充分に評価できるものだった。
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TDK CF撮影時の未公開スナップ・ショット
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佐野にとってはCFも自身のメッセージを伝えるクリエイティヴなメディアのひとつだということがよくわかる。
この他には、TOYOTA「カルディナ」という車のCFに出演。内容は、ロサンジェルスやニューヨークの街並みを車と帆走する佐野、という設定だった。