写真集『RE-MEMBERS』は、デビュー当時の新宿ルイードから1994年9月15日の横浜スタジアム「LAND HO!」まで、佐野の15年に渡る活動を記録してきた写真家・岩岡吾郎による作品集である(TOKYO
FM 出版/2800円)。
その15年とは、言わずもがな“ザ・ハートランドの軌跡”だった。岩岡吾郎はあとがきでこのように書く。
「ザ・ハートランドは佐野元春を含め最終的に9名で構成された。いつの頃か、全員がカメラマンである私の存在を当然のように受け入れてくれた。いつでも、どこでも、カメラを向けることができた。私は内心、自ら“10人目のハートランド”と思えるようになり、幸運にもメンバーの一員として15年間を共に行動することができた」
躍動のライヴ・フッテージ。真冬のニューヨーク。レコーディング・スタジオでの緊張。そして楽屋裏でメンバーが見せる素顔……。オン/オフに関わらず、ザ・ハートランドに向けられたレンズに躊躇はない。未発表写真も多く含んだこの作品集には、岩岡吾郎にとっても「同志」としての年月の深さが刻まれている。
1994年12月の出版から早くも5年の時間が経った。すでにザ・ハートランドは存在しないが、収められた写真の数々は今も色褪せてはいない。それはタイトルが示唆するように、この作品集が「更なる記憶」を意味しているからなのだろう。
作品集に収められたルイードでのモノクロ写真が、最新ベスト・コレクション『20周年アニバーサリーエディション』のスリーヴを飾ったことは、その「証し」なのだと思いたい。
なお、現在もオフィシャル・カメラマンとして佐野のライヴを撮り続けている岩岡吾郎からは、次のようなコメントが寄せられている。
「ザ・ハートランドのメンバーとの別れの記念碑ともいうべき、この写真集は佐野くんとの15年間のつき合いの記録でした。何万カットからの選択から本にするまでの、大変だけれどとても幸せな経験をさせてもらいました。20周年を迎え、そしてこれからも、カメラを持って彼の周辺をうろつきます」