02 | エピック・レコード25周年ライブ 2003-2004

 いうまでもなく、佐野元春がデビューしたのは、エピックソニー(正式名称「EPIC・ソニー」。現在は「エピックレコードジャパン」)からだった。もし、彼が同社ではなく、他のレコード会社から出ていたら、今日の佐野元春はなかったかもしれない。それだけ、エピックソニーであることに必然があった。レコード会社はレコードを売る??当たり前のことだが、それはシングルカットしたレコードをラジオやテレビにプロモーションをして、売るだけだ。そこに、アーティストそのものを育てるという姿勢は希薄だった。プロモーションの主眼は、いかに番組を多くとるかにかかっている。歌謡曲や演歌の時代と、あまり変わりがなかった。

 しかし、エピックはアーティストを育成し、レコードだけでなく、アーティストそのものを売ることを考えた。そのためのプロモーションを展開していったのだ。その核になるのが雑誌やコンサートであり、そのためにイベンター、プロダクション、レコード会社が三位一体となり、アーティストを売り出すというスタンスを取った。独自の方法論と活動方針があったのだ。その成功例が佐野元春であった。彼ととともに、その前後にデビューしたモッズやストリート・スライダーズ、TM NETWORKなどの成功が “ロックのエピック”を印象付ける。

 「エピック・レコード25周年ライブ」は、エピックレコードジャパン創立25周年記念イベント。正式名称「LIVE EPIC25(ライブ・エピック・25)」として、2003年2月16日に大阪城ホール、2003年2月22日と23日に国立代々木第一体育館でそれぞれ開催された。出演は佐野元春を始め、大沢誉志幸、鈴木雅之、小比類かほる、バービー・ボーイズ、モッズ、TM NETWORKなど、“エピックソニーの時代”を代表するアーティストが集結した。

 佐野は同イベントのとりとして出演。「約束の橋」「SO YOUNG」「アンジェリーナ」を披露した後、出演者をステージに呼び戻し、アーティストを代表してレーベル創始者の丸山茂雄を紹介した。そして、“エピックソニー・オールスター・メンバー”で「SOMEDAY」が歌われた。そのシークエンスは“エピックの25周年”を象徴するものであった。

(市川清師)

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