04 | SSW−そして僕は歌を書いた 2003-2004

 日本のロック・ポップス系の音楽事務所が構成する社団法人音楽制作者連盟が、新人アーティストの発掘と音楽業界への情報発信を目的とした音楽イヴェント“in the city”。2003年はキーワードに新しい日本のスタンダード・ナンバーを意味する「J-Standard。」を掲げ、10月1日〜5日まで、渋谷で同時多発的に展開された。その中で佐野は“SSW?そして僕は歌を書いた”と銘打ち、10月3日にSHIBUYA-AXで後輩アーティストを紹介するイヴェントをプロデュースしている。

 当日はYO-KING、古明地洋哉、ハナレグミ、saigenjiの4人が、それぞれのステージを行った後、佐野が登場。YO-KINGと「ガラスのジェネレーション」、古明地洋哉と「君がいなければ」、ハナレグミと「ジャスミンガール」、そしてsaigenjiとは「また明日...」をセッションで披露して締め括った。

 特にこの日注目を集めたのは、ブラジル音楽のエッセンスを投入した強靭なグルーヴに貫かれたライヴ・パフォーマンスで場内を沸かせたsaigenji。セッションのためにステージに上がった佐野が彼のヴォイス・パーカッションをまねて、オーディエンスを笑わせる一幕もあったほどだ。

 それ以前にも佐野はライヴ・イヴェント“This”やレコーディングのプロデュースなどで、若手アーティストとのコラボレーションを行ってきたが、このライヴでは男性のシンガー・ソングライターに焦点を当て、曲を生み出す時の孤独な闘いを行っている者同士としてのシンパシーを前提に、エールを投げかけるような構成となった。

 またこれに先駆けて佐野は、彼自身がナビゲートするFM番組「レイディオフィッシュ」で、2週に渡って特番を組み、4人から佐野に届いたコメントを交えて、彼らの音楽を紹介する場も設けていた。こうした振る舞いからは、日本のポップスの基盤を作るパイオニアとしての彼の使命感が伝わってくる。

(志田歩)

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