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08 | ライブDVD「TOUR 2006 星の下 路の上」 | 2005-2006 |
2006年1月から始まった全国ツアー「星の下 路の上」。本作は4月2日、その最終公演が行われた東京国際フォーラム(HALL A)での模様を収録したDVD2枚組+ボーナスCDをパッケージしたものである。
一夜のライブをMC含めてノーカットで収録したのは、佐野のキャリアでも初。そのボリュームもさることながら、ステージに肉薄したカメラワークが素晴らしい。近年、佐野のライブ・アピアランスの中でも最高と目されているパフォーマンスを、まるで特等席から観るかのごとく再現されていよう。
この時点、佐野はレコーディング・アーティストとして26年目。80年代、90年代、そして当時最新作の『THE SUN』からの楽曲をバランスよく配置し、ライブ・ベストとも言えるセットを堪能できるはずだ。また、THE HOBO KING BAND結成10年という節目のツアーということもあり、彼らが辿ってきた道のりの集大成も感じさせる。
圧巻は、本編ラスト曲「ニューエイジ」の唄い出しで客席に舞った無数の風船。単なる舞台演出とは思えない、様々な感情が行き来する情景だ。佐野はその瞬間を「痛みを伴った現実だった」とブックレットに書く。
「一瞬でいいので、自分の唄が時代と強く共振してほしいと思った」
その思いは、この夜のライブに立ち会った観客、そして本作を観る人すべての心に突き刺さるものに違いない。
3時間あまりにおよぶステージのアンコールでは、ツアー・タイトルに冠された「星の下 路の上」を披露するため、特別ゲストとして高桑圭、深沼元昭、小松シゲルが登場。後の『COYOTE』セッションに繋がるアクションを見せた。一夜のライブ記録としての意味以上に、手にする者を“多感”にさせるパッケージだろう。
(増渕俊之)
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