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05 | ツアー「Sweet Soul, Blue Beat」 | 2005-2006 |
本来であれば、2007年6月13日にリリースしたアルバム『COYOTE』にあわせ、同作品を主体にしたツアーが行われるはずだが、その代わりに行われたのが2008年1月から3月まで(1月22日の神奈川伊勢原市民文化会館から3月29日の東京NHKホールまで)、The Hobo King Bandとともに全国22カ所を回るツアー「SweetSoul Blue Beat」だった。
ライブでは過去にあまり演奏されていない80年代のレアナンバーから、誰もが知るライブの定番、そしてThe Hobo King Band結成以降の楽曲から構成されている。いずれの公演も3時間にも及ぶステージを展開している。
佐野のホームグランドである2月17日の神奈川県民ホールでは、気心の知れた仲間とのパーティのような寛ぎと賑わい、いい意味での洒落や遊びを漂わせたステージを見せてくれた。長年にわたって活動するだけあって、観客も世代を跨ぎ、多くの年代から集まった。中には親子で来ている人たちもいた。活動が20年を超えるといえば、幼児も成人してしまう年月である。
佐野はその日、同じ時代を生きてきた同世代のリスナーに、素敵なメッセージを残してくれた。彼はアンコールのMCで「大人が伝えるべきは希望である」と力強く言い切ったのだ。金やモノ、土地などではなく、希望を新しい世代に残さなければならない、と。希望のない時代といわれている、こんなシリアスでハードな時代を明るく照らす希望の光が必要なのだともいう。まさに、同年9月には“リーマンショック”が起こるが、時代を見越した、佐野らしい提言である。
“希望”を引き繋がなければならない。それが大人の役割だ。それができないような“つまらない大人にはなりたくない”と、その場にいた誰もが思ったはずだ。
(市川清師)
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