アルバム・タイトル・ナンバーといえば、アルバムを代表する曲が選ばれるのが常套だが、この曲は、収録されているどの曲とも性格が違う。このへんも元春らしい含みを感じる。曲は、この上なく神秘的で美しいバラードだ。これまでにも数多くの優れたスローソングを書いてきた元春だが、「情けない週末」や、「経験の唄」と並ぶ名曲だろう。含みのある言葉が淡々と唄われるなか、我々は、人生で経験する、否定しようのない、せつないジレンマに気づかされる。ソングライティングの勝利だ。