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05 | 同時多発テロ事件に触発された新曲「光-The Light」 | 2001-2002 |
21世紀に入ったばかりの2001年9月11日、アメリカ合衆国でアメリカン航空2機とユナイテッド航空2機の計4機がハイジャックされた。そしてそのうち2機がニューヨークのワールドトレードセンターの北棟と南棟に1機ずつ、もう1機がアメリカ合衆国国防総省の本部庁舎、通称ペンタゴンを標的にして突入。特にニューヨークでは2機目が南棟に突入する際、すでに現場に多くの報道関係者が集まり、その瞬間を世界中の人々が目にすることになった。
このツインタワーはハイジャック機の突入から約1時間後に、ジェット機激突による爆発とそれによって引き起こされた火災によって、次々と2棟とも崩壊してしまう。アメリカ同時多発テロもしくは「9.11」と呼ばれるこの事件は、世界中の人々がリアルタイムで初めて目にした最悪のテロ事件となった。
「光-The Light」は、佐野元春がこの同時多発テロに触発され、事件当日の2001年9月11日の夜に作り、翌日、彼自身のスタジオでレコーディングされた楽曲だ。そして同年9月18日〜25日の間、MWSで無料配信された。この際、ホームページには「爆発の夜 僕は歌を書いた 売り物ではない歌を 僕と僕の友人のための歌を」と記載されている。
この時点で同曲はデモ・ヴァージョンではあったものの、ある事柄に触発されて書かれた楽曲(メッセージ)が時を置かずして作り手から受け手に届けられるという、インターネットの特性をもっとも有効に使用した発表だったと言える。
2005年8月、この「光」は「光 final version」としてiTunes Music Storeでシングル・リリース。その後、未発表曲「タンポポを摘んで」と、2004年に発売されたアルバム『THE SUN』から「最後の1ピース」をはじめとする3曲のコンプリート・ヴァージョンとともに、「光 final version」と同曲のインストゥルメンタル・ヴァージョンの計6曲を収録した『THE SUN STUDIO EDITION』が、同年12月に発売されている。
(池田聡子)
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