Jun.16.01 at Osaka Festival Hall



  6月16日午後1時、新幹線で新大阪駅に到着。晴天。空は抜けるように青い。佐野元春の21年間のキャリアの中でもツアー初日を大阪で迎えるのは初めての体験だが、どうやら天も彼に味方してくれているようだ。

 ツアー初日にもかかわらず、リハーサル中のホールには張り詰めた緊張感はない。ステージの上のミュージシャンたちはもちろん、きびきびと動きまわっているスタッフたちの表情にも余裕が感じられる。そこには強固な自負と信頼感があり、このメンバーによる公演が失敗するはずがない、という自信が彼らの態度を陽気にしている。

 本番ではツアー初日とは思えぬ素晴らしいライヴ・パフォーマンスが披露され、大阪のオーディエンスはそれを充分に堪能した。ショーの内容についてはまだ詳細を伝えるわけにはいかないが、佐野元春とザ・ホーボー・キング・バンドの新境地がここにはある。痺れるほどクールでありながら、しかも驚くほど熱い演奏が展開されていく。これまではライヴで演奏される機会の少なかったレパートリーも含めて、新たなアレンジを施され、まるで新曲のように生まれ変わった元春スタンダードの数々。ミュージシャンたちのプレイをまるごと享受できるオーディエンスにとっては至福の2時間半だ。


 そして、アンコールではあの名曲たちが蘇り、それまでは敢えて抑制したヴォーカルを聴かせていた佐野が20年前に戻ったかのように激しくシャウトする。とりわけ古田たかしのドラムスのフィルで始まる「サムデイ」は感動的だった。


 終演後、メンバーやスタッフが集まった打ち上げの席では仲間を称えるコメントの数々が飛び交っていた。互いの職人的なスキルやテクニックに対するリスペクトの念と家族的な絆によって結びついた最強のチームだからこそ達成できた初日の成功。しかし、彼らは決してそれに奢ることなく、明日の公演でのより一層の充実を目指して、反省点をしっかりとチェックし合っていた。

 
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