02 | Jan.25.2001

Things Get Better


 ザ・ホーボー・キング・キャラヴァンは今日も順調に旅を続けている。昨日よりも進行のスピードをやや緩め、佐野からの注文もより具体的になり、それぞれがディテールに気を配りながらセッションを繰り返している。それにしても、H.K.B.の4人は皆、曲のイメージをつかむのが早い。辣腕ミュージシャンの集合体だから当然だが、さらに彼らは佐野元春というシンガー/ソングライターを熟知している。


 スタジオの中は意外に涼しい。しかしリハーサル風景をビデオカメラで撮影している林ワタルはいつも半そでで平然としている。同じく半そでスタイルで張り切っている佐野と林は今日、「半そでクラブ」の結成を宣言した。僕も勧誘されたが、風邪をひいたらリポーターの仕事に差し支えるので、丁重にお断りする。そんなわけで会員はまだ二人きりだが、彼らは人一倍元気だから、まったく気にしていない。

 古田のドラミングがH.K.B.に何を与えたのか。それを語るのはもう少し先の課題にしたい。ただ、彼の笑顔がドラム・キットの向こう側にあるだけでH.K.B.の雰囲気はすでに大きく変化している。ラテン系の明るさが古田はある。「ザ・ハートランドには二つの太陽があった」という佐野の言葉を思い出す。ひとつの太陽は、むろん佐野だ。そして、もうひとつの太陽が古田だった。

 古田と同時にもうひとり、佐野とH.K.B.にとって頼もしい仲間が帰ってきた。かつてローディー・チームのチーフを務めていた小島正也が久しぶりに復帰したのだ。現在のチーフである坂本晃彦との“ダブル・チーフ・システム”はミュージシャンやスタッフにとって非常に心強い。さらに古田のローディーである佐藤一二の復帰もあり、これでザ・ハートランド後期の最強トリオのリユニオンが実現したことになる。アクシデントやトラブルが起こっても、彼らに任せれば簡単に片付けてくれる。僕には時どき彼らがスーパーマンに見える。



Moto Said...



 


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