03 | Jan.26.2001

Crossroads


 リハーサルも今日で3日目。今日の課題は、10日後に予定されているレコーディングに備えて、現時点では「Free」「Live On」という仮タイトルで呼ばれている2曲の新曲の基本的なアレンジを決定することだ。

 たとえばギター・リフをどこに挿入するのか、どこに入れたら最も効果的に響くのか、さまざまなパターンを試すためにバンドは何度もセッションを繰り返す。ちょっとしたディテールの変化によって楽曲の印象が大きく変化することもある。

 コンサートのリハーサルでもそうだが、スタジオの中でも佐野はまるで眼の前にオーディエンスがいるかのようにアグレッシヴに動きまわる。彼はギターを掻き鳴らし、タンバリンやカウベルを叩き、激しくシャウトする。曲そのものの潜在的なパワーとバンドのダイナミズムを最大限まで引き出そうとする彼の姿勢はまさに献身的だ。

 ザ・ホーボー・キング・キャラヴァンが岐路に差し掛かったとき、佐野はH.K.B.のメンバーに「休憩」を告げ、ギターを抱えてスタジオの一隅に座り込む。

 スタジオの床に座って、ギターを爪弾きながら、彼は歌う。さらに先程のバンドでの演奏のプレイバックを聴きながら、もう一度、歌ってみる。そして考える。またギターを弾きながら歌ってみる。それを繰り返す。あらゆる可能性の前で立ち止まり、どちらの道に進むべきか、真剣に考える。やがて彼はひとつの可能性を選択し、再びH.K.B.を集め、キャラヴァンは旅を続ける。



Moto Said...



 


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