詩集『ハートビート』を知ってますか?
今から30年前の1981年2月、セカンドアルバム『HEART BEAT』リリース時に非売品のプロモーショングッズとして制作された、今では入手困難の詩集『ハートビート』。現在進んでいる制作作業の中で、傷ひとつない当時の状態ものが発掘された。この冊子を知らないという方もいると思うので、その写真とともに簡単に解説しましょう。
1983年の『THIS』Vol.4(ソニーマガジンズ刊)と1985年の『エレクトリックガーデン』(小学館刊)に詩の一部は再録されたが、この詩集『ハートビート』がオリジナル版だ。
目次を抜粋してみよう。
- Introduction
- OWN MY SONGS
- DO WHAT YOU LIKE(勝手にしなよ)
- ガラスのジェネレーション
- IT'S ALRIGHT
- 情けない週末
- HEARTBEAT(小さなカサノバとナイチンゲールのバラッド)
- モーニングレタス 10月21日
- <Climax>にて
- スピード
- Pretty Little Eyes
- バスルーム
- 彼女はデリケート
- 私の流儀で踊らせて
- The Same Ol' Morning
- モノローグは陽気に
- 夜明けと勘違いして寝言をいう
- 恋の片道キップ
- シジフォス24/1980
- グラス越しに見せてくれたママのより目
- マウスピースをどこかに隠してしまったお茶目なティンカーベル
- TVセット しかももっとモダンな
- Landscope
- Sun Childは僕の友達
- Two in Brazil
- 今夜証明されます
- 僕の上着のポケットに顔をつっこんでいるウェートレス
- 著者について
- 解説/佐野元春探偵を知っていますか? 糸井重里
この中に収録されている歌詞はもちろんのこと、詩、イラスト、デザインは全て、彼の手によるものである。
当時のプロモーションといえば、アルバムのためのプロモーション、例えば、ポスターやステッカーなどのグッズ配布が主に行なわれていたが、アーティストそのもののプロモーションが行なわれることは、ほとんど無かった。
その状況に対し、彼は、詩人としての側面も併せ持つ、ミュージシャンとして、歌詞とビート詩、散文詩を掲載した、この詩集を発表した。
先述の「Now&Then」でも書かれているが、『HEART BEAT』に収録されている『君をさがしている〜朝がくるまで〜』の歌詞は、この詩集に収録されている散文詩「シジフォス24/1980」が原型となっている。
後に1988年に発表される、長編散文詩『エーテルのための序章』や『スポークンワーズ』と言った、佐野元春の新たなアートパフォーマンスへと繋がる第一歩が、この詩集『ハートビート』だったのかもしれない。
なお、この本の解説はMoto's Web Serverの「Now & Then」に書かれているので、そちらをご覧頂きたい。