02 | TV番組「生ダラ」出演 ── フリーダム
1997-1998



 ソングライターとしての佐野元春はさまざまなアーティストに楽曲を提供してきている。佐藤奈々子や沢田研二、山下久美子らとの仕事が有名だが、バブルガム・ブラザーズや片岡鶴太郎といった意外な顔ぶれにも佐野は楽曲を提供している。それは基本的に彼らからの熱心な要請によって実現したものだが、1997年7月にリリースされたアンディーズの「フリーダム」もそのひとつだった。
 

 「フリーダム」は、日本テレビのバラエティー番組「とんねるずの生でダラダラいかせて!!」の企画から誕生した。もともとは「バイクでアメリカを横断したい!」というテーマで、とんねるずの石橋貴明が中型免許を取得するところから始まった。
 
 石橋は同年4月に無事免許を取得し、定岡正二、デビッド伊東とともにバイク・ツーリング・チーム「生殺し」を結成する。のちに「アンディーズ」と改名し、メンバーの名前もそれぞれにアンディ(石橋)、ショウ(定岡)、ホセ(伊東)と変わった。 そして「チームのテーマ曲が欲しい」という話になり、石橋が憧れの人・佐野元春に作曲を依頼したのだ。
 
 バラエティ番組初出演の佐野はボディガードを引き連れ水上バスに乗って登場し、石橋らの願いを快諾する。作詞はメンバー3人がそれぞれに挑戦し、佐野がそれに手を加え、新曲「フリーダム」が誕生した。その後、アンディーズはバンドの練習を始めたが、ドラムス担当のホセが上達せず、急遽日本テレビのアナンサー、福澤“ジャストミート”朗(ジャスティン)をドラマーとして抜擢し、ホセはキーボードを担当することになった。

 レコーディングでの演奏はザ・ホーボー・キング・バンドが担当したが、当時、「フルーツ・ツアー」のバックステージでカントリー・ロックが大流行していたせいか、「フリーダム」の演奏はザ・バーズやポコ、フライング・ブリトゥ・ブラザーズなどを彷彿とさせるカントリー・ロック・サウンドに仕上がっている。
 
 その後、佐野とホーボー・キング・バンドは「ザ・バーン・ツアー」で「フリーダム」のH.K.B.(ザ・ホーボー・キング・バンド)バージョンを披露した。

(市川清師)



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