1998年8月30日に行なわれたソニーミュージック・エンタテインメント主催による国内初の有料インターネット・ライヴイベント。ザ・ホーボー・キング・バンドのメンバーにパーカッショニストの里村美和が加わり、アルバム『ザ・バーン』からのレパートリーを中心としたアンプラグド・セッションを披露した。

Photo by 岩岡吾郎

　リビングルーム・セッションのような雰囲気の中でのアコースティック・セットでのアンサンブルは、インターネットでのオンライン・ライヴというパーソナルな放送形態にふさわしく、とても親密なものだった。
　
　現場では同時にスカイパーフェクトTVでの中継もセットされ、インターネットと衛星放送という次世代メディアを駆使したオンライン・ライヴの新たな形態を提示した。インターネット中継では ISDN経由のビューワーに視聴の不都合が生じ、より確実な配信方法の確立に向けて課題を残したものの、再放送では多くのファンがアンプラグド・セッションを堪能し、その試みは2000年7月のスポークン・ワーズとアンプラグド・セッションによるオンライン・ライヴ「Summer of 2000」へと繋がっていく。
　
　インターネット・ライブという実験的、かつクローズドなライブだったため、このライブを体験できた人はおそらくそれほど多くない。内容が素晴らしいだけに残念である。当日の模様を収録したマスターテープが現存するということなので、ぜひ完全な形でのリリースを望みたい。