ウッドストックでレコーディングされたアルバム『ザ・バーン』に収録されている「どこにでもいる娘」と「ドクター」。この2曲が1997年に亡くなった佐野の妹さんのために書かれた曲だということを最近知った僕は、「ザ・バーン・ツアー」の大阪公演の模様を収録したこのビデオを観て、プログラムが「どこにでもいる娘」に差しかかったとき不覚にも涙を流してしまった。
このビデオに収められている演奏はどれも秀逸なものだが、ライヴ・バージョンとして練られたアレンジによる「どこにでもいる娘」のアンサンブルはとりわけ素晴らしい。ツアー最終日ならではの演奏だ。
スペシャル・ゲストのジョン・サイモンとガース・ハドソンが参加した「So Goes The Song」「7日じゃたりない」「ロックンロール・ハート」の3曲が最大の聴きものだということは間違いないだろうが、「どこにでもいる娘」以外の楽曲でも佐野とバンドはスリリングなプレイを聴かせてくれる。
新旧のヒット曲やライヴでおなじみのレパートリーも加えて実際には3時間にも及んだライヴの最も美味しい部分のみをピックアップし約80分に編集されたの本作は、アルバム『ザ・バーン』がどのような情感によって作られたのか、ということを教えてくれる貴重な記録でもある。